性器からの出血というと、まず、月経に伴う出血が思い浮かぶであろうが、ここではそれとは無関係の性器出血に限る。
性器出血は、産婦人科の病気の症状としては、最も重要なものであり、年齢によっても病気に特徴があるが、成熟期以降に性器出血が起こったら、がんの重大さと考えあわせて、専門医の診察を受けなければならない。
思春期の出血 思春期の頑固な子宮出血は、卵巣機能の未熟や異常によって、ホルモンの分泌に異常をきたして起こる(若年性子宮出血)。
成熟期の出血 子宮膣部びらん・粘膜ポリープ・子宮内膜炎・膣炎その他の原因で性器出血をきたす事もあるし、妊娠に関係した病気や月経異常に多い。
更年期の出血 卵巣機能の低下による頑固な出血(更年期出血)がしばしばみられるが、大切なのは性器の腫瘍、特に子宮がんである。
更年期以降の出血 子宮がんの可能性がある。特に性交や排便のあとに出血を見る場合(接触出血)には、その疑いが濃厚である。出血は鮮血であることは少なく、汚れたような黒褐色で、しばしば腐肉のような悪臭を伴う。このほか成熟期の女性にみられるのと同様に性器疾患にかかっても出血が起こる。
老年期の出血 閉経後相当期間たった女性の性器出血は、ほとんどすべてのものが子宮の腫瘍、特にがんと考えて診察を受けなければならない。
流産後に出血が止まらない 人工妊娠中絶の場合を含めて流産のあと適切な処置を受けていれば、性器出血は1週間前後で徐々に消失するのがふつうである。中等量または少量の出血が長期間続く場合は、子宮の回復が遅れている子宮の復古不全と考えてよい。時には胎盤ポリープによって、大量の出血をみることもある。
また流産後、長期間にわたる出血を起こす病気で、重大なものは、絨毛上皮腫(じゅうもうじょうひしゅ=絨毛がん)である。胞状奇胎(ほうじょうきたい)の流産の場合には、この絨毛上皮腫の発生に注意するが、通常の流産の場合は忘れがちである。このほか流産後には、卵巣機能の一時的な異常のために、いわゆる機能性子宮出血を起こすこともある。